八甲田山 ツアースキー (東北6県ゲレンデ巡り 完結編)東北6県ゲレンデ巡り。昨シーズンは6県目の青森に行けず達成ならず。青森のゲレンデは公共交通機関でのアクセスは難しいので、半ば諦めていたところ、2月の蔵王をご一緒した職場のB先輩(以下「隊長」)が、八甲田に誘って下さった。本格的なツアースキーは初めてだったが、堪能しました。 09年4月11日(土)快晴早朝5:40。仙台近郊の同僚Oさんが拙宅へ、隊長のクルマに同乗して、いざ出発。。10時少し前に現着。雲一つない快晴。八甲田山ロープウェイ駅付近は路駐のクルマ多し。駐車場は満車と思いきや、運良く1台分の空き。 隊長のアドバイスでリュックを背負う。おにぎり、チョコレート、カロリーメイト、ポカリスエットにお茶。もちろんビールとつまみも入ってる(笑) この時間帯、ロープウェイ(RW)は15分間隔。回数券(5回分4900円)と、シャトルバスの券(700円)を購入。頂上から、山の反対側に滑ってバスで帰ってくる作戦。 10:15発。101人乗りのRWは8割ほどの乗車率。乗車時間は10分ほど。青森市街、陸奥湾が一望。 「天気と元気が良いうちに」との隊長の判断で、まずは箒場岱(ほうきばたい)ルートへ。RWの裏側を滑る7.5kmのルートだが、うち1.2kmは登り。 RW山頂駅(1326m)から1548mの赤倉岳を超えるのだから標高差220mほど。 大丈夫か?>ぢぶん 入山届を出し、ウェアを脱ぎ10:45出発。板を担いでの登り、普段の運動不足がキツイ。リフトを使うスキーは運動になってないことを痛感。 数十歩歩いては息を整え、を繰り返し、何とか登る。隊長はヒールフリーの板にシールをつけて、すいすい歩いていく。おいらも他のグループには抜かれていないのだから、お2人のペースがよほど速いんだ。(隊長もOさんも、学生時代に山岳部やワンゲル部) 登ること1時間余、ようやく赤倉岳山頂にたどり着いた・・・が、ここでは止まりもせず、次は下り(泣) 登りは仕方ないとしても、滑らずに歩いて下るとは。雪が融けて、階段が見えてるから仕方がない。隊長は板をリュックに差してかついで行く。 ようやくスキーで滑れる位置に着いた丁度12時。缶ビールで乾杯。が、余りにも喉が渇きすぎてゴクゴク飲めない。ポカリスエットの方がありがたいとは(笑)
12:15滑走開始。日本のゲレンデでは見たことのない景色。周りには我々3人以外に誰もいないし、どこを滑ってもいい。隊長が滑る方向を見定めながら、シュプールのないバーンを滑る。 しばらくすると、林間コースになる。林間コースといっても、普通のゲレンデのように、木を切り倒した「林道コース」ではない。文字通り、木と木の間を縫って滑るのである。野沢の「自己責任ゾーン」が延々と続く感じ。樹種が違うのか、樹と樹の間が1〜2mほど空いている。頭の中には「ブリザード」がかかりまくり。 麓に近づくにつれ、歩いたり、漕いだり。普段なら焼額山と奥志賀の連絡通路もいやなのに、1時間も山登りをした後なので全く苦にならない。 促されてふと振り返る。「あそこから滑ってきたのか・・・」
12:50箒場岱に到着。ギリギリ13時発のシャトルバスに間に合う。 小腹が空いたので、バスの中でパンをかじる。30分ほどでRW山麓駅に到着。 バス券を買って13:45のRWで山頂へ。RW内で、おにぎりを2個ほおばる。全くもって体育会系だ。 次は登りのない銅像ルート。「八甲田山 死の彷徨」で有名な雪中行軍殉難事故の銅像があるところまで滑り降りる。 14時、滑走開始、と思いきや、隊長、おもむろに板を担ぐ。「え? 登るんですか??」 数10m先がスタート地点だそうな。焦った。 滑り始め手、軽く登ったり降りたりを繰り返す。志賀−万座ルートのツアーみたい。前岳(1251.7m)を左に見ながら、反時計回りにトラバース。「元気があれば登ってもいいですよ。」と隊長。「今日は、勘弁してあげます。」とおいら。「じゃあ、明日ね。」という悪魔の言葉・・・。 途中、雪崩が起きてるところを遠目に見る。一昨年の2月にも雪崩が起きて2人亡くなったそうな。もともとスキーは危険なスポーツだが、とくにツアースキーは大自然と一体となる分、危険の度合いが高いことを改めて認識。 前岳の反対側に回り込み、滑走開始。誰もいないバーンを3人で滑っていく。何の音も聞こえない。雪はザラメ状。重いがゲレンデの春の雪とは違う。不思議な感覚。ふわふわしてるというべきか。上下動は多めに、スタンスは狭くして滑る。 それぞれのルートには、数十mおきに標識があるが、好き勝手にコースをとると見逃してしまうし、標識ばかり追っていると木にぶつかっちゃう。結構難しい。 隊長は持参の地図(三浦敬三監修のツアー地図だそうな)とコンパスと高度計を見比べながら、しばしばコース確認。ツアーってのは大変だな。 14:40,銅像茶屋着。茶屋から250mほど登ったところに銅像があるとのこと。「銅像、見に行っていいですか」「どうぞ。」うむ、おやじギャグだ。 途中に「雪中行軍 遭難の地」なる看板がある。兵隊さんが前岳をバックに仁王立ちする銅像。立ったままの仮死状態で発見された斥候の後藤伍長の姿だそうな。彼が救援隊に見つけられたことで、一行が遭難したことが判ったそうな。「こんなところで遭難したんですね。」「そうなんです。」うーむ、隊長、絶好調。
15:22のバスでRW山麓駅に戻る。 まだ明るく天気もいいので、もう1本。RWも客は10人ほどでガラガラ。クルマがRW駐車場にあるので、ツアールートではなく、RWに戻ってくるダイレクトコースを降りてくることに。山頂駅では映画の八甲田山の写真展をやってて、それを駆け足で見る。 途中で気持ちの良いバーンを見つけて入っていったところ、これが「モッコ沢コース」という古いコース。途中で沢を渡らないければならないコース。最後の最後でちょっとアドベンチャーでした。 今日の宿はもちろん酸ヶ湯温泉旅館。施設はイメージ通りひなびた温泉宿だが、対応は近代的な宿。 部屋に入って、着替えたらまずビールをひと口。すぐに大浴場へ。硫黄の匂いがプーン。これぞ温泉。ph2.03。千人風呂は10数年前のJRポスターで有名な大混浴風呂。「男」「女」とかかれた杭が真ん中にあり「見えないバリア」になっている。 1時間の登りのせいか、それとも、重い雪のせいか、ふくらはぎの筋が痛い。こんなのは記憶にはない。頑張って前傾を保とうとしていたのかな。 風呂から上がって夕食。 今回の泊まった湯治部には自炊用の共同炊事場もあるが、我々は二食付き。 旅館部だと部屋で食べるのだそうだが、湯治部は大食堂。飲み物の持ち込みOKとのことなので、皆が持ち寄ったワインと日本酒をあける。料理は、海老の塩焼き、鯖の塩焼き、揚げだし豆腐、オクラ納豆、根曲がり竹など。キノコのピリ辛い煮物がやたらとうまかった。 部屋に戻り、さらに酒を飲みながらDVD鑑賞。「わたスキ」も用意していたが却下され、隊長持ち込みの「ゲッカン渡辺一樹」、おいら持ち込みの「片山秀斗の超上級者のテクニック」を見ながら技術談義。昼も夜も体育会系だ。 寝る前に再度入浴。今回は「玉乃湯」というこじんまりしたお風呂。こちらは、シャンプー、石けんの類が使える。湯上がりにイヅツワインの甘いロゼを飲みながら、再びスキー談義。23時過ぎに就寝。 09年4月12日(日)快晴6:45起床、千人風呂に入る。さすがにこの時間は数人しかいない。7:00朝食、和洋のバイキングであるが豪華。ごはんも、白飯、雑穀米、お粥が選べる。満腹。 宿のみやげ物屋で、おにぎりとバナナを調達。 8:30,前日予約した宿の送迎バスでRW駅へ。シャトルバスの始発は11時過ぎなのでありがたい。 11人乗りのワゴンは満席、スキー板は併走する軽トラで運ぶ。助手席で運転手さんとお話し。 「こんな良い天気は珍しい。今シーズンは晴れてても風が強い日が多かった。」「今年は、例年よりも2週間ほど雪が融けるのが早く、ゴールデン・ウィークまで保たないかも。」「例年なら、道路の脇の雪の壁は1メートルくらい高い。」なるほど、なるほど。 8:45RW山麓駅。バス券を買いRW乗車。 すし詰め状態。今日も良い天気。昨日は気付かなかったが、岩木山がくっきり見えた。 今日は、昨日も滑った銅像ルート。ただし、前岳に登る。昨日の台詞は冗談じゃなかったのか。 現在のルート図では、昨日のとおり、前岳の東側を迂回していくのだが、隊長持参の三浦敬三さんの地図では南側から登頂するのがルート。この方が、雪崩地区を避けられるから良いようにも思うのだが。 山頂駅から少し滑り、9:15登頂開始。標高差は80mほどか。誰かの踏み跡があり、それを階段のように一歩一歩踏みしめて登る。昨日の箒場岱で身体が慣れたのか、そこそこのペースで登った。20分ほどで1251.7mの頂上に到着。バスの時間まで余裕があるので、のんびり休憩。 我々3人しかいない。陸奥湾、下北半島、津軽半島が一望。板で椅子を作り、持参の缶ビールとつまみで休憩。サワサワという風が樹を揺らす音が波の音のよう。癒される。 10時、滑走開始。昨日、下から見上げていた綺麗なバーン。全く滑ったあとがない。キモチイイ!! ここでビデオ撮影いやぁ、キモチイイ(笑) いやぁ、こんなに気持ちがいいのなら20分の登りは全く苦にならない。 銅像茶屋到着10:30。バス出発まで1時間ほどあるので茶屋併設の雪中行軍資料館へ。入館料200円なのだが「どうぞ、入って。」とのことでタダで見せて戴く。 ここは、映画の「八甲田山」ではなく、事実としての遭難事件の各種資料が展示されている。ショッキングな写真(※)も何点か。 ※ 遭難した兵隊さんのご遺体や、カチンカチンに凍ったご遺体を火で温めて解かして納棺する様子、さらには生き残った兵隊さんが四肢を失った写真等。当時の写真なので鮮明でないのが救い。 独りで見ていたら、店のご主人(=資料館の館長さん?)が、いろいろと解説してくださった。 新田次郎の「八甲田山 死の彷徨」は、彼が脚色した小説であること、実際には青森の連隊と弘前の連隊の行軍は全く別であったこと、銅像の後藤伍長は凍傷で両手足をなくしたが、その後結婚して、村会議員まで務め、お孫さんが今も毎年訪ねてくれること、実際に発見された場所は銅像の位置から3kmほど離れていること等々。 バスの時間が近づいたので礼を言って外に出ると、今度は目の前の前岳を見ながら一昨年の雪崩事故の話。もうすこし亀裂が伸びたらRW会社に連絡する話など、いろいろ伺う。 11:30頃、バス乗車。 このシャトル・バス。箒場岱11:15だが、銅像茶屋を通過する時間が謎である。時刻表では22分かかることになっており、停留所には11:37とあるが、茶屋の張り紙には「箒場岱から 7,8分」とある。しかるに、実際には11:30頃にやってきて、客を乗せ次第出発してしまう。乗り遅れると次のバスは2時間後(汗)。 12:00RW。回数券はこれで終わり。頂上駅の地図にRW会社の方が「×」シールを貼っていた。新しく亀裂が発見されたらしい。 バナナで腹ごしらえをして、昨日迷って行けなかったフォレストコースをリベンジ。が、昨日はなかったネットが張られていた。亀裂でもできたのか? このため、ダイレクトコースへトラバース。最後の斜面はモーグルコース。前週の練習の甲斐あって、難なく降りる。
12:45、RW。これが最後。 中央コースを通って酸ヶ湯へ。コース取りのせいなのか、ダラダラとした登りも何カ所かあり、そこそこキツイ。 スタート地点とゴール地点が決まっているのだから、「気持ちよい斜面」を滑り降りれば「ダラダラした横移動」があるのは当たり前。かといって、最初から最後まで中途半端な斜面というのもつまらない。難しいところである。 途中の毛無岱と名付けられた場所は、夏は湿原だそうだが、今の季節は何もない。15人ほどのパーティが昼食をとっていた。初めて、ツアールートで人に出会った。 13:45酸ヶ湯着。千人風呂に入浴。二日間のツアーで両足のふくらはぎがパンパン。のんびり浸かってほぐす。いやぁ、極楽極楽。 # 千人風呂の一角には柵がしつらえてある。何のためか? その位置からは女性の風呂が見通せるのだが、かつて日長一日、そこに座っていた輩がいたことから立ち入り禁止にしたそうな。 風呂からあがり、宿に併設されているそば屋で遅い昼食。おいた、ついつい「生ビール!」と注文してから、ドライバーである隊長に「あのぉ、飲んでいいでしょうか。」「頼んじゃったじゃない。」いやはや、申し訳ない。つなぎを使っていない蕎麦も美味しゅうございました。 昨晩の夕食で出たキノコや青唐辛子味噌なぞを自分への土産にしつつ15:00発。途中縦隊もなく19:00拙宅着。 【データ】滑走日 :09年04月11日〜12日(シーズン通算滑走日数 29日)ゲレンデ:青森・八甲田山ロープウェイ リフト待:なし(ロープウェイ15〜20分毎に発車) ゲレ食 :酸ヶ湯そば かけそば550円 【おこづかい帳】交通費 : 3000円(高速・ガス代割り勘)リフト代 : 6050円(ロープウェイ5回券4900円+1回券1150円) 循環バス代: 2100円(700円×3(箒場岱→RW、銅像→RW、銅像→RW)) 宿泊費 : 7500円(1泊2食) 計 :18,650円 シーズン累計:267,930円 |